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2021年度運営委員の声 2021年6月 高間邦男先生

<幹事の運営委員の声:6月度 高間邦男先生の講座>  藤原・和智

 【先の見えない時代はアジャイル組織開発と煩悩の価値転換がカギ】

2021年度の第1回にあたるTA研究部会は高間邦男先生(ヒューマンバリュー会長)の「人と組織の関係性の再構築~組織の哲学を変え、コンパッション(慈悲)を高める」でした。

国内外の組織の研究を40年以上進めた、組織開発の第一人者のお話は学ぶところ大でした。

 ◎前半のエッセンス

「元々変化が激しく先行きが見えないVUCAの時代と言われたのが、新型コロナ感染拡大でますます社会も組織に変化に対応が迫られている。

 変化が激しい社会環境に企業が対応するには、従来型の階層型ではなく自律分散型の組織が求められる。すなわち、上層部からの指示命令で動く組織ではなく、一人一人が自律的に動く組織が適合する。市場や環境から情報を取り、組織内で共有する情報の透明性があり、個人を中心に据え、社会を個人に奉仕するという価値観になっている。

 そのためには、組織内では感じたことを自由に言える安心安全があり、協働して動ける風土が必要。

行動はソフトウェア開発で現在主流になっているアジャイル的な取り組みが合っている。つまり、完全な商品を作って顧客に提供するのではなく、顧客が求めると思われるものを概算的にデザインして素早く顧客の声を聴く。そして短時間(2週間~3か月)でテストして再度顧客の声を聴く。こうやって柔軟に迅速に対応するアプローチが望ましい。」

(幹事感想)

確かにITなど変化が激しい市場環境では経営トップが自信を持って方向を指し示すことは難しいので市場に近いメンバーが素早く商品の仮説を作り迅速に市場のテストをして行く方が成功率が高まりますね。これはこの時代に成功している企業の例を見るとわかります。

 ◎後半のエッセンス

前半の講座は迅速に柔軟に外部環境の変化に対応するにはアジャイルな組織が必要とのこととでしたが、そのために一人一人を尊重しすることが前提になります。後半は個人の苦悩・不安に焦点を当てます。

 ◎苦悩・不安をリストアップする

高間先生は仏教哲学にも造詣が深いのですが、仏教やマインドフルネスの応用のACT(Accesptance and Commitment Therapy)の考え方をご紹介いただきます。

 最初の言葉「自分の心が必ずしも、常に晴れやかで濁りがなく平安な状態にあることに気づく。その原因にはエゴが働く仕組みがある。心の中にどのような不安や煩悩があるのか理解し、ありのままに受け入れる。エゴがないことにすると、逆にエゴに支配され操られる」がすっと胸に入ってきます。

具体的なステップは

1.「今この瞬間」との接触

チェックシートに基づき、煩悩・不安をリストアップする

2.脱フュージョンする

煩悩・不安があるのはフュージョンです。脱フュージョンとは冷静にその状態を観察し、一歩下がり距離を置きます。T人が望まない苦痛や出来事・体験A(交流分析)で言うA(冷静な現実対応する自我状態)の活性化のように思いました。

3.Acceptance

自分でどういうきっかけで苦悩・不安が起きるのかを考察していきます。その後、仲間数人でシェアします。不満があるのは自分だけではない,と幾分か楽になります。

これは仏教の慈悲(コンパッション)ですね。他の生命に楽を与え苦を取り除くことを望む働きです。慈しみ、区を受容することです。自自分自身に対して慈悲の心を持つことをセルフコンパッションと言います。

(幹事感想)

苦しみには自分や他人の病気、けが、災難などどうしようもないこともあるが、新しいことにチャレンジしてその途中の苦しみの2種類あると思いました。前者は受け入れる、後者は新しいことに挑戦する上で起きる正常なプロセスだと認識するだけでもずいぶん楽になりますね。

 ◎価値を明確にする

1.チェックシートに基づき自分の価値を明確にします。価値とは今起こっていることを求めたい事、継続的にどう行動したいかを表わしています。「選択された人生航路」とも呼ばれています。方角を教え、旅を導くものです。

2.未来語り
オープンイノベーションから来た考え方らしいですが、1年後の自分をイメージして

それを仲間に語る実習です。

(幹事感想)

やってみてずいぶんスッキリしました。私の不安はぼんやりしたものでした。身体は元気だし、仕事はある、家族・友人にも恵まれている、だけどこれでいいのかなあという漠然とした不安でした。

価値を明確にし、1年後の自分の姿(仕事、スキルなど)を明確にしたら煩悩不安と価値は裏表に感じました。また自分の目標が明確になりリフレッシュした一日でした。(担当幹事 藤原 和智)

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