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2021年度運営委員の声 2022年1月 門本泉先生

<幹事の運営委員の声:1月度 門本泉先生の講座>

【門本泉先生 異質な世界を隣人に】

1月度のTA研究部会は門本泉先生(国際TA協会教授会員、国際TA協会元副会長)の「異質な世界を隣人に~成長を助ける心の機能、友人の機能」でした。 

心理学では親子関係、兄弟(特に双子)、職場の人間関係の論文は多数あるそうですが、友人を扱ったものは少ないそうです。

友人の定義は「家族でなく、性愛や上下関係でなく、両者の自発的な心の動きによって結びつきあった水平の関係。同年代、同性とは限らず動物も含む」だそうです。 

実習はまず友人と思う人の名前をマス目に書いていくことでした。200人が普通とのこと(羽田野、2016)。そんなにいるかなと思いましたが、実際やってみると結構マスは埋まりますね。年賀状の送付先リストを思い出しました。 

講義では友人は異質だからこそ影響があり、取り入れ、対照、同化についてお話が進み、小グループで話し合いをします。 

確かに友人の影響で音楽、映画、読書、食べ物、お酒は範囲が広がりますね。また友人との会話で気持ちが楽になったことも思い出しました。自分が営業の時はつらかったけど話を聴いてくれる先輩がいて助かりました。米国Clevelandのゲシュタルト研究所のトレーニングも英語が通じず疎外感がありましたが、数人の仲間のおかげで気が楽になりました。 

ただ異質性、同化の前に、まず自分とよく似た同質性があって友人になるのではないかと思い、先生に質問してみました。すると

「特に日本ではそうですね。ところが海外では周りは異質な人ばかり。そこから異質な人と交流していき学びがある。日本人は異質に対して耐性が弱い」とのこと。確かに日本人ビジネスマンが海外に赴任する時の教育で異文化コミュニケーションがあり、「外人とは価値観、考え方などが違って当たり前、その前提で仕事をすること」と言うことを習います。これを知らないと海外で気持ちが通じず精神ストレスが大きくなります。 

ただ人の心の発達段階ではギャングエイジというのがあるとのこと。親から離れ学校と言う社会に入る。先生は権威の象徴だが、中間(友人)は同等の特別な存在。その中でも一緒に羽目を外す(やってはいけないことや行ってはいけない場所に行く)という共通の行為をすることで心の結びつき、一体感ができます。 

ちなみに日本の現代の若者は傷つくのを恐れ友人関係に深入りしない傾向があるそうです(廣寶、2002)。これはこれで困ったことですね。 

今回のテーマは、成長して大人になると自分と違う人と接することで世界は広がるとのこと。門本先生が国際TA協会の役員をされている時に会議でそれぞれ考え方は違うが議論してまとまっていく経験をお話しくださいました。 

友人とはTAで言うと相互ストロークによる親和性と思いましたが、成熟して異質の友人を持つということは上質なことへの刺激、ストロークだなあと感じました。

(担当幹事 藤原、和智)

 

  

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