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2022年度運営委員の声 2023年2月 津田真人先生

2023年2月18日(土)には、心身社会研究所自然堂 (じねんどう)治療室・相談室主宰の津田真人先生をお迎えし、「ポリヴェーガル理論入門~こころ・からだ・社会の複眼的な視点から、トラウマに向き合う最新アプローチ~」と題してお話しいただきました。当日は、自律神経の新しい理論、トラウマの最新理論として、いま世界的に話題のポリヴェーガル理論について、わかりやすく解説していただきました。                                                                                                                                                                                                                                                                          

【幹事(運営委員感想)】

2月度TA研究部会では、津田真人先生にご登壇いただき、「ポリヴェーガル理論入門」をテーマにご指導いただきました。

ポリヴェーガル理論のポリとは「多重」、ヴェーガルは「迷走神経」とのこと。なぜ、迷走神経というかについては、古代ローマ時代に遡り、この時代では人体の解剖は禁止されていて、代わりに動物を解剖して神経細胞の研究が行われていたそうです。自律神経は動物も人間も大きな違いは無いそうで、動物を解剖して神経の研究が行われており、身体の中にあちこち多岐に分かれていて、まさに迷走している様から命名されたとのことです。

精神生理学を専門とするスティーヴン・ポージェス博士は永年の研究の成果として、1994年、心臓を支配する副交感神経(迷走神経)に2種類あると新学説を発表され、世界的に注目を浴びることになりました。一つは生命維持のための受動的神経群(背側迷走神経複合体)と、もう一つは社会的安全を享受する神経群(腹側迷走神経複合体)です。

人間の自律神経は、能動的な活動を司る交換神経と鎮静・弛緩を司る副交感神経に分かれています。この二つの迷走神経について、津田先生から詳しく説明を受けました。ただ、各用語が難しく聴いていても素人にはついていくのが大変でした。腹側迷走神経は未完成(最低限の機能としておっぱいを吸う機能)のまま人間は生まれてきて、出生後の愛着関係が神経を完成させていくという件は納得いくものでした。また、哺乳類の子供は、相手が安全と分かれば、自発的によく遊ぶ(取っ組み合いの遊び)が、本気の取っ組み合いは、交換神経のなせる業です、相手がケガをしたら遊びを中断し、相手を気遣い・謝る等は、腹側迷走神経のなせる業とのこと。

講義が進んでいく中で、解剖学的講座を聴いている気分にもなりましたが、先生からは用語が難しいようでも内容は理解が進めばそんなに難しいことではないと念を押され、更なる向学心が湧いてきたように感じました。今回の講座では、迷走神経の機能ついて詳しく説明を受けましたが、ポリヴェーガル理論をどのようにカウンセリングに活かすのかの言及は次の機会を待ちたいと思います。

(担当幹事・和智久仁夫、吉田宏)

【担当幹事(運営委員)】

 和智久仁夫   吉田 宏

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